産業廃棄物の処理
建設工事で避けられない建設廃材等の産業廃棄物の処理は、環境衛生上、多くの規制が加えられており、処理業者は「廃棄物処理法」に基づき、産業廃棄物処理業許可を取得しなければなりません。
建設廃棄物の取り扱い
廃棄物処理法において、建設工事で発生する廃棄物の取り扱いについて、元請業者と下請業者の双方に具体的な義務や責任が課せられております。
建設系廃棄物の排出事業者
建設工事では、元請け業者と下請業者が重層的に入り混じった状態で工事が進行するため、誰が排出事業者なのか明確に分からない場合が多々ありました。そこで、2011年4月1日から施行された改正廃棄物処理法で、建設工事で発生した廃棄物の排出事業者は、発注者から直接工事を請け負った「元請業者」にあると定められました。(廃棄物処理法21条の3・1項)
このため、下請業者が建設系廃棄物を運搬する場合には、下請業者には産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。
(元請業者が産業廃棄物の収集運搬を自ら行う場合は、許可は不要です。)
なお、建設工事とは、土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の全部または一部の新築、改築、または除去を含みます。解体工事については含まれることを入念的に明らかにしています。
下請業者への管理責任の負担
下請業者が、産業廃棄物が排出された建設工事現場内で運搬されるまでの間、産業廃棄物の保管を行う場合に、下請業者に保管基準の遵守義務が課せられております。(廃棄物処理法21条の3・2項)
保管基準に違反した場合、元請業者と下請業者の両方が改善命令の対象となります。
このように、下請業者は本来、排出事業者ではありませんが、建設工事の実態を踏まえ、下請業者にも廃棄物管理責任を負担させることとなっております。
下請業者が排出事業者となれる例外規定
下記条件すべてに該当する場合、収集運搬業の許可なしに、下請業者が排出事業者として運搬することが可能となりました。(廃棄物処理法21条の3・3項)
- 次のいずれかに該当する工事に伴い生ずる廃棄物であること。
- 解体工事、新築工事または増築工事以外の建設工事(維持修繕工事)であって、その請負代金の額が500万円以下の工事。
- 引渡しがされた建築物その他の工作物の瑕疵の補修工事であって、その請負代金相当額が500万円以下の工事。
- 特別管理廃棄物以外の廃棄物であること。
- 1回当たりに運搬される量について、巻尺その他の測定器具を用いて簡易な方法により1立方メートル以下であることが測定できるものまたは1立方メートル以下であることが明確な運搬容器を用いて運搬するものであること。
- 当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県または隣接する都道府県の区域内に存し、元請業者が所有権または使用する権原を有する施設(積替えまたは保管の場所を含む。)に運搬されるものであること。なお、使用する権原を有する施設とは、元請業者が第三者から貸借している場合のほか、下請負人または中間処理業者から貸借している場合も含まれること。また、元請業者と廃棄物の処理の委託契約をした廃棄物処理業者の事業の用に供する施設(積替えまたは保管の場所を含む。)に、下請負人が当該廃棄物を運搬する場合についても、元請業者が使用する権原を有する施設に運搬されるものであると解釈されること。
- 当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないものであること。
※建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)より
なお、下請業者が排出事業者として建設系廃棄物を運搬する場合には、運搬する廃棄物の種類、数量等を記載した書面および当該運搬が廃棄物処理法第21条の3第3項に基づくものであることを証する書面を備え付けなければなりません。
参考
産業廃棄物の事業場外保管に関する事前届出
平成22年の廃棄物処理法の改正により、排出事業者は、建設工事に伴い生じる産業廃棄物を事業所の外で保管するときに、事前の届出が必要になりました。
詳しくはこちらをご覧ください。(富山市HP)